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| [さまざまな真珠の観察例] 1. 淡水真珠 図-3aに示すような7.621 ctの淡水真珠をX線CTにより撮影した結果、図-3b,c のような断層写真および3次元像が得られた。これらの撮影結果から、この真珠は無核であり、その代わりにX線透過率の高い物質が中央付近に存在してそれを中心に真珠層が成長していることが明確にわかる。断層写真には、真珠層の成長模様も明瞭にとらえられており、この成長模様を詳細に観察すれば、閉じた同心円状ではなく、ところどころ成長模様が途切れて重複しているのが確認される。有核であれば、真珠層の成長模様は閉じた同心円が何重にも異なるパターンになるはずであり、今回の撮影結果は無核であることを示している。ただし無核ではあるが、中央にX線透過率の高い部分があることから、この真珠はピースのみを入れて養殖したものである可能性が示唆される。この部分は扁平な形をしているため、従来の2次元的な像では撮影する向きによっては見にくい場合があると考えられるが、CTを用いれば像を確実に捕らえることができる。 2. シロチョウ養殖真珠 核のある真珠の場合、球状の核が内部に存在するのがはっきり確認できるだけでなく、3次元のイメージや断層写真からは、核の大きさや位置が明瞭に示される。図-4aに示したシロチョウ養殖真珠のCT写真(図-4b)の場合、核の外側に空隙をともなっており、そのためドロップの形状をもつ。 3. ローズバッド・パール 淡水真珠の中には、図-5aのような細やかな突起で覆われた外形をもつものがあり、薔薇のつぼみを連想されることから「ローズバッド・パール」と呼ばれている。図-5bのCT画像に見られるこの真珠の内部構造は、外形から予想されるとおり、非常に複雑な成長縞からなっている。このような複雑な内部構造は2次元的なX線透視画像からは予測しにくく、CTならではの観察結果といえよう。 4. アワビ真珠 アワビは、真珠をつくる貝としては珍しく巻貝の仲間であり、美しい干渉色を示すことで知られている。今回CT撮影を行ったアワビ真珠は、図-6aに示すような不定形を示すが、中央付近よりおおよそ外形に沿った形に成長層が巻いている構造をしていることが見てとれる(図-6b)。アワビ真珠の場合、X線透視検査により、ラウンドに近いものほど中空度が高いとの報告例があるが(Gems & Gemology, winter 2003)、今回観察した不定形のものを、3次元的に内部構造を調べた結果も成長層は比較的密に巻かれており、報告にある傾向と一致している。
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| [まとめ] 市販されている汎用的なX線CT装置を用いてさまざまな真珠のCT撮影を行った結果、10分程度の撮影時間で、非常に鮮明な画像として内部構造を観察することができた。3次元情報が2次元に投影した形で撮影される従来のX線透視(レントゲン)像では、試料を撮影する方向によっては情報が欠落する可能性があり、内部構造の全体像をとらえるためには、試料をセットする方向を変えて、数回にわたる撮影が必要となる場合がある。それに対してCTでは、3次元的な情報を網羅したイメージを一度に得ることができるため、内部構造を精密に観察するにはすぐれている。特に、核の有無や、X線透過度の異なる部分の有無を調べようとする際、見落としなく観察することができる。そのため、データを蓄積すれば、無核であっても内部にピースを入れた養殖真珠と、天然真珠とを区別できる可能性がある。 装置自体が非常に高価であることや、最終的な画像を得るまでの時間が従来のレントゲン撮影に比べて長くなることが難点であるが、この手法は真珠の内部構造を調べる手段として極めて有効であると思われる。 * 株式会社ミキモトの赤松蔚氏には、本稿の内容に関して有用なコメントをいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。 |
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